歩行障害、認知障害、尿失禁の3つが主な症状です。この中で、歩行障害が最初に出現し、頻度が高い症状です。歩幅が狭く、足関節の動きが少ないため、すり足になり、また足底が床にへばりついて足が前に出にくい歩行(すくみ足歩行)などが特長です。
認知障害は、最近の記憶が障害され、自発性がなく、ぼんやりしていることが多いです。尿失禁は、3つの症状の中で最後に出現し、頻度も他の2つの症状より少ないです。
上記の主な症状(歩行障害、認知障害、尿失禁)と脳室拡大があり、水頭症をきたすその他の明らかな原因がない場合、特発性正常圧水頭症が疑われます。腰椎穿刺によって髄液を確認し、正常な髄液・髄液圧(20cmH2O以下)であり、髄液を抜いた後(タップテスト)症状が改善する、もしくは、MRI・CTにて特長的な画像所見(図1:クモ膜下腔の不均衡な拡大)がある場合、特発性正常圧水頭症と診断され、外科的手術が考慮されます。図:正常圧水頭症
治療法は、過剰な髄液を身体の中に誘導するシャント術が行われます。シャント術には、脳室腹腔シャント術、腰椎腹腔シャント術、脳室心房シャント術がありますが、脳室腹腔シャント術と腰椎腹腔シャント術が主流です。皮下に埋め込まれたチューブにより、頭(脳室)からお腹の中に(脳室腹腔シャント)、腰(脊髄腔)からお腹の中に(腰椎腹腔シャント)髄液を流します。手術時間は1時間程度です。また、カテーテルの途中に髄液の流れを調節するバルブシステムを挿入しますが、主に磁石で調節可能な圧可変式バルブが使われます。
基本的には1週間程度の入院期間です。術後は、創部やシャントチューブの感染症、シャントがしっかり機能しているか、シャントが効きすぎていないか、等に注意します。改善しやすい症状としては、歩行障害が最も改善する可能性が高く(6-7割)、続いて認知障害、尿失禁と言われています。
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