脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞など)

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脳卒中
(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞など)

症状

脳卒中とは、脳の血管が突然に破れたり、閉塞したりして脳血液循環の障害をきたし、手足の麻痺や言語障害、視野障害、めまい等多彩な症状を起こす病気です。

脳卒中は、血管が破綻する脳出血と血管が閉塞する脳梗塞とに大別されます。さらに脳出血は、脳内に出血が起こる狭義の脳出血と、主に脳動脈瘤の破裂によって生じるくも膜下出血に分けられます。脳梗塞は発症に至る原因から、心房細動というタイプの不整脈等で心臓に形成された血栓が頭の血管に詰まる心原性脳塞栓症、頸動脈や大動脈等太い血管の動脈硬化に起因するアテローム血栓性脳梗塞、脳内の穿通枝と呼ばれる細い血管の動脈硬化性閉塞によるラクナ梗塞に分類されます。

脳卒中に対する医療は、ここ10年ほどで急速に進歩しました。超急性期治療、慢性期治療、リハビリテーションを積極的に行うことによって、治療成績、患者さんの後遺症や治療による負担が大きく改善されている現状があります。

2019年12月から「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(脳卒中・循環器病対策基本法)」が施行されたことで、国民全体に良質かつ均質な脳卒中に対する治療を提供することが求められるようになりました。

このような社会的要請、そして患者さんのご期待にお応えできるように、当科は2020年6月に設立された慶應義塾大学病院脳卒中センターの一員として積極的に脳卒中治療に取り組んでおります。

検査・診断

頭部MRI、頭部CT、心機能評価(心エコー等)、頸動脈エコー、脳血流検査(SPECT)等を用いて頭蓋内の評価を行います。また詳細な血管構築や脳循環の評価が必要な場合には脳血管撮影を行っております。

治療法(手術)

治療法は病型により異なります。くも膜下出血に関しては、動脈瘤の部位、形状、患者さんの背景(ご年齢、内服薬、ご希望等)を踏まえて、開頭クリッピング術とコイル塞栓術から選択し、個々の患者さんに最適な治療法をご提供いたします。脳梗塞に関しては脳卒中センターとして適応例には血栓溶解療法(rt-PAと呼ばれる血栓溶解薬を点滴する治療)を行い血管内治療による急性期の血行再建術(ステントリトリーバーや吸引カテーテルを用いた血栓回収や急性期頸動脈ステント留置術を行います)。

急性期脳梗塞に対する直達術(頸動脈内膜剥離術および種々のバイパス手術)の対応も可能です。脳出血に関しては脳ヘルニア回避目的やリハビリ促進目的の血腫除去術を行います。安全に血腫除去が可能と判断した場合はより低侵襲な内視鏡下血腫除去術をおすすめいたします。

当科では、脳卒中予防を目的とした外科手術にも力を入れています。例えば、くも膜下出血の予防を目的とした開頭クリッピング術、コイル塞栓術、ステント留置術、脳梗塞の予防を目的とした頭蓋外-頭蓋内バイパス手術(STA-MCAバイパス術)、頸動脈ステント留置術、頸動脈内膜剥離術などを行っています。硬膜動静脈瘻や脳動静脈奇形といったシャント疾患についても、血管内手術と開頭手術を使い分けながら、積極的に治療を行っています。こちらに関しましてはそれぞれの該当項目をご参照ください。

経過

脳卒中の病型および発症時の重症度で経過は変わってきます。脳卒中で麻痺等の神経機能に障害を認めた場合、リハビリ科と連携し、脳卒中発症後早期からリハビリを開始しております。急性期治療が落ち着いた段階で、ご自宅への退院が困難な状況の場合、病状に応じてリハビリ病院ないし慢性期病院への転院のお手伝いをいたします。

実績について

脳卒中センターの一翼として、主に救急センターでお受けした患者さんの治療を担っております。24時間365日、脳神経外科専門医によるオンコール体制を引いております。

慶應義塾大学病院での取り組み(特長)

くも膜下出血後に生じる全身合併症のうち、神経機能予後に大きな影響を与える虚血性脳障害に対しては、新規脳保護療法の確立を目指した基礎研究にも取り組んでおり、豊富な治療経験と基礎研究から得た知見をもとに、最善と考える治療を行っています。

当科で本疾患に関して下記の報告を致しました。

1. Loss of consciousness at ictus and/or poor World Federation of Neurosurgical Societies grade on admission reflects the impact of EBI and predicts poor outcome in patients with SAH. Takahashi S, Akiyama T, Horiguchi T, Miwa T, Takemura R, Yoshida K. Surg Neurol Int. 2020 Mar 6;11:40. doi: 10.25259/SNI_551_2019. eCollection 2020.

2. Early prediction of clinical outcomes in patients with aneurysmal subarachnoid hemorrhage using computed tomography texture analysis. Kanazawa T, Takahashi S, Minami Y, Jinzaki M, Toda M, Yoshida K. J Clin Neurosci. 2020 Jan;71:144-149.

3. Usefulness of Intraoperative Imaging in a Patient with a Ruptured Aneurysm of the M4 Segment of the Middle Cerebral Artery. Sasao R, Takahashi S, Nishimoto M, Yoshida K.

World Neurosurg. 2018 Dec;120:90-95. doi: 10.1016/j.wneu.2018.08.025. Epub 2018 Aug 16.

4. [The Usefulness of Considering Preoperative CT Images for Surgical Clipping in a Patient with a Distal ACA Ruptured Aneurysm]. Takahashi S, Kamamoto D, Ishihara E, Yoshida K.

No Shinkei Geka. 2016 Dec;44(12):1065-1068. doi: 10.11477/mf.1436203429.

受診をご希望の患者さんへ

外来受診については、慶應義塾大学病院のホームページ内の「初めて受診する方」に詳細をお示ししておりますが、「予約制」「紹介制」をとらせていただいています。

  • 一人一人の患者さんを十分に診察、説明させていただきたく、またお待ちいただく時間を短縮するために、外来は予約制とさせていただいております。

  • 予約の際には、ご病状を速やかに把握させていただくため、現在かかりつけの医療機関からの紹介状をお持ちいただくようお願い申し上げます(紹介制)。これまでに受けた検査(MRIやCTなどの画像検査、採血検査など)の結果もお持ちいただけますとたいへん助かります。

  • お手数をおかけいたしますが、かかりつけの医療機関から、下記の予約方法で本疾患担当医師の外来を予約していただきたく存じます。


<脳神経外科外来の予約方法>
外来予約窓口:(電話)03-3353-1257 にお電話ください。
※外来予約窓口 受付時間:月~金曜日 8:30~19:00
(土曜日は17:00までの受付となります)
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